※動画はポスター掲載のURLより、天文ガイドYouTubeチャンネルでご視聴いただけます。
:及川聖彦
2021年8月号付録ポスターで紹介した「リアルタイム動画でとらえた星雲・星団・銀河」の動画はこれまで数年かけて私が撮りためてきた映像である。2018年3月にオーストラリアに遠征した後、口径40cm反射望遠鏡による星雲・星団・銀河の撮影を継続し、2020年末にはほぼ全天をコンプリートすることができた。撮影対象は「Sky&Telescope’s Pocket Sky Atlas」 (Roger W.Sinnott著)に掲載されている天体のうち、おもにM・NGC・ICナンバーの天体をセレクトした。この星図には恒星7.6等以上、系外銀河は11.5等、球状星団は10.5等、惑星状星雲は12等まで、散開星団・散光星雲は比較的明るいもの、そのほか暗黒星雲が記載されており、天文アマチュアの望遠鏡で見ることができるおもな星雲・星団・銀河がほぼ網羅されている。
今回は、全天を6つのエリアに分け、それぞれのエリアで代表的な星雲・星団・銀河を10数個ずつ、合計70の天体を天文ガイドYouTubeチャンネルで公開している(付録ポスター記載のQRコードまたはURLより視聴可能)。過去に天文ガイド誌上で私が執筆した記事に関連して、すでに30天体ほどを撮影した動画が公開済みだが、その後に再撮影を行い、今回、クオリティの高い映像を公開した。しかし、まだまだ撮影時のシーイングや低空のもや、気温の高さや風の強さなどの撮影環境の違いによって映像の質にバラつきがある。今後は、撮影カメラにソニーα7SⅢを使い、星座ごとに再撮影をし、さらにクオリティの高い映像を撮影し公開していきたいと考えている。
星雲星団の写真は、その光を何十分、何時間も蓄積して捉えた姿である。それと比較すると肉眼で見たように撮影した動画はあまりにも微かで儚く感じるかもしれない、しかし、非常に長い年月を超えて届いたばかりの光を今その瞬間に見ているような感覚は動画ならではの臨場感だと思う。天文ガイド読者諸兄にも、そうした臨場感を感じてもらえたら幸いである。
※映像の撮影範囲
クローズアップ撮影の場合の撮影時の焦点距離は1278mm、フルサイズセンサー(24.0mm ×36.0mm)の場合の画角は、横1.6°縦1.1°対角1.9°となる。約1°の円型範囲が撮影されている。
M51子持ち銀河
大マゼラン雲
M104ソンブレロ銀河
M20三裂星雲
M31アンドロメダ銀河
M1かに星雲
【参考】
これまでに公開した動画(および記事掲載)
●2017年5月号「ソニーα7SⅡでとらえた星雲・星団・銀河の4K動画」
https://www.youtube.com/watch?v=hpmWmJLAfoQ
●2017年7月号「口径40cmドブソニアン望遠鏡とソニーα7sⅡでとらえた星雲・星団・銀河の動画」
https://www.youtube.com/watch?v=KuYhiOaiQT8
●2018年6月号「星雲星団のリアルタイム動画撮影(南天)」
https://www.youtube.com/watch?v=P1bVVF3KCdo&t=15s
●2019年9月号「星雲・星団“動画”カタログに挑戦」
https://www.youtube.com/watch?v=ikJJ52nlHLI&t=6s
●2020年12月号「ソニーα7SⅢでの流星・星雲・星団の動画」
https://www.youtube.com/watch?v=sEI9mPOi9VM