愛犬の友 2020年7月号

　これまで、68年という長きにわたって、ペット誌というジャンルの先駆けとして情報発信を続けてきた、『愛犬の友』が最終号となりました。

　これまで応援していただいた読者の皆様、そして関係者の皆様には、このような形になり、本当に申し訳なく思っております。

　今回、休刊にあたって、過去の号をあれこれ掘り返してみましたが、南極観測隊に参加予定の樺太犬（タロやジロたち）の話が出てきたり、50年代の雑誌の目次が英語だったりと驚きの連続でした。

　創刊当時はまだペットというよりも番犬として犬を飼う人が大半であった時代です。一部の趣味人の嗜み的な部分もあったと思います。

　そんな時代と比べると、現在は犬と人との距離は格段に縮まり、使役動物からペット、そしてさらに進んで家族へとなってきました。

　70年近く、犬と暮らすということの意味であったり、実際に飼う際のテクニカルなことであったりと、さまざまな情報を発信してきた雑誌としては、こうした変化に多少は貢献できたのではないかと自負しております。

　今回、68年という歴史に幕を下ろしますが、また何かの機会にお目にかかることが出来ましたら、その際にはよろしくお願い申し上げます。

今回、特集で取り上げたのは「保護犬」です。

　犬の世界で、それまであまりメジャーな存在ではなかった保護犬が、広く知られるようになり、犬を飼う際の選択肢の一つとして、定着してきたということは、本当に嬉しい限りです。

と同時に、心配になることもあります。

　ブーム的に安易に「保護犬を飼う」ことは難しい面もあるからです。私も8年前に保護犬を引き取って、最初の３年くらいはそれまでの経験が全く通用せず、悪戦苦闘の毎日でした。ただ、意思疎通ができるようになると、本当に強い絆が生まれます。

問題はそこまで腰を据えて犬と向き合えるかどうか。

　そういったことも含めて、「保護犬」がもっと世の中に浸透してくれるといいなあ、というのが編集部の願いです。