商品名 アンモナイト学入門
商品名(カナ) アンモナイトガクニュウモン
著者名 相場 大佑
判型 B6
ページ数 296
巻きの数だけ生き方がある!絶滅生物の魅力と謎に迫る
内容
アンモナイトといえば、まずあの「ぐるぐる巻いた殻」を思い浮かべるのではないでしょうか。アンモナイトは日本古生物学会のシンボルマークにもなっており、小学校理科の教科書では「白亜紀末に絶滅した頭足類」「地質時代を示す示準化石の一つ」と説明されます。化石を持っている人もいるかもしれません。それなのに私たちは、アンモナイトが実際にどのように生きていたのか――何を食べ、どんなふうに成長し、どのように泳ぎ、どういった進化を遂げたかなどをあまりよく知りません。なぜなら、本体である軟体部が化石になりにくく、また生活の痕跡が地層に残りづらいことなどにより、そもそも古生態の復元が難しいからです。
研究の進展により、その謎は徐々に明かされてきました。種ごとに食性や生息域が異なっていた可能性、雌雄で大きさが異なっていた可能性、より小さな卵をたくさん産んだ可能性……など、この10年ほどで次々と指摘されるようになってきました。本書では、「アンモナイト博士」として親しまれる著者が、アンモナイトのリアルな姿や生きざまを最新研究を交えてわかりやすく解説します。アンモナイトのことを知りたいなら、まずは手に取ってほしい一冊です。
著者紹介
相場 大佑(アイバ ダイスケ)
公益財団法人深田地質研究所研究員。1989年、東京都生まれ。2017年横浜国立大学大学院博士課程修了、博士(学術)。三笠市立博物館学芸員を経て現職。専門は古生物学(特に、化石頭足類アンモナイトの分類・進化・古生態)。アンモナイトの生物としての姿に迫るべく研究を進め、これまでに2新種を記載。また、学芸員時代に巡回展「ポケモン化石博物館」を企画し、総合監修を務める。著書に『僕とアンモナイトの1億年冒険記』(イースト・プレス)、『自然科学ハンドブック 化石図鑑』(創元社)など。
ここだけの話
某月某日、喫茶店での打ち合わせを終えると、相場さん(本書の著者)が足を止めてじっと壁を見つめている。
ついに執筆の疲れが祟ったのか……と思っていると、「あ、ここにいますね」。
アンモナイト化石である。
百貨店やホテルの壁面などの石材には、こんなふうに化石が含まれていることがある。
悲しいもので「ここ」と指を差されても、素人からすると「どこですか?」状態である。
化石を見る眼がないのである(以前、名人にキノコ狩りに連れて行ってもらった時のことを思い出した。次々と見つけ出される姿に、最新鋭のメガネ型センサーを装着しているのではないかと疑った)。もう少しだけ、よく見てみよう。
おわかりいただけただろうか。
いわゆる「ぐるぐる」が見えているわけではなく、ドーナツでいえば上から輪っかを見ているわけではなく、半分こにした時の断面を見ている、と思ってもらえばよいかもしれない。
もともと地下深くにあったものを切り出しているのだから、そういうこともあるだろう(むしろ「ぐるぐる」が見えるほうが珍しい?)。こうした化石が割と普通に見られるのだから、当時アンモナイトは本当にそこら中にいたんだろうなと感心してしまう。
こんなにも近くに、絶滅生物の痕跡がある。
一枚の壁が太古の海とつながっている。
そう考えると、日々の暮らしもちょっぴり楽しくなりそうです。
※本書でもコラム「街中アンモナイト図鑑」で石材中の化石を紹介しています。
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