商品名 「北欧デザイン」の考え方
商品名(カナ) ホクオウデザインノカンガエカタ
著者 渡部 千春
判型 A5変形(縦210mm×横152mm)
ページ数 224
世界に愛される「北欧デザイン」の今までとこれからを学べる一冊。
内容
家具、建築、テキスタイル、工芸、グラフィック……「北欧デザイン」の全体像が理解できる決定版
シンプルで洗練されたデザイン家具や日用品が日本でも長年愛されている北欧デザイン。近年では、環境や社会福祉に配慮した素材選びや生産体制など、北欧のものづくりの思想や価値観そのものが、「北欧デザイン」という現代的なデザイン・ライフスタイルとして広く浸透しつつあります。
一方で、アアルト、ヤコブセン、マリメッコ、アラビアなど、個別のブランドやプロダクトに関する解説本などを目にするものの、デザイナー同士のつながりや、家具、建築、テキスタイル、工芸、グラフィックといった北欧デザインの諸ジャンルを総合的に解説する日本語の書籍はありませんでした。
本書では、そんな北欧デザインの全体像を解説するため、横断的な章立てによりトピックを厳選。わたしたちがよく知る北欧デザインの誕生背景をイラスト付きのポイント解説や豊富な写真とテキストにより読み解いていきます。
著者紹介
渡部 千春(ワタベ チハル)
1969年生まれ。デザインジャーナリスト。東京造形大学准教授。著書に『北欧デザイン 1-3』(プチグラパブリッシング、2003-2004年)、『これ、誰がデザインしたの?』(美術出版社、2004年)、『20世紀デザインヒストリー』(プチグラパブリッシング、2005年)、『北欧デザインを知る』(NHK出版、2006年)など。
ここだけの話
マリメッコのテキスタイル、ヤコブセンの椅子、アアルトのプロダクトなどなど、日本でも長く愛され続ける北欧デザインを紹介する本書。
歴史上の名作プロダクトも多数登場しますが、北欧デザインの特徴のひとつとして、長く生産・販売され続けている製品が多いということがあげられます。
プロダクト製品が人々の手に届けられるるためには、生産者側の体制や流通・販売の仕組みが整っていることはもちろん、量産・継続生産に適した素材や技術を選択しているか、流行にとらわれない普遍的なデザインを実現しているかなど、デザイナー側の努力も不可欠です。
ただ美しいかたちを生み出すだけでなく、使い勝手やコストパフォーマンスを加味し、使い手にとってベストなプロダクト製品として成立しているからこそ、多くの北欧のデザインが長く人々に愛され続けているのでしょう。
そんな北欧デザインのなかでも、編集担当が密かに愛用しているのが、フィンランド人デザイナーのカイ・フランクによる食器シリーズ「ティーマ」です。
「ティーマ」の特徴は、量産可能かつスタッキングに適したかたちでありながら、色のバリエーションや、どこか人間の手仕事の感覚を思い起こさせる大らかなシルエットだと思っています。はじめは比較的購入しやすい価格帯や色の鮮やかさに惹かれて集め始めましたが、使っているうちに、和洋問わずどんな献立にも使いやすいかたちやサイズ感であることを実感するようになりました。
日々の生活の中では、気に入っていたカップをうっかり割ってしまうこともあれば、暮らしの変化に応じて同じお皿を買い足したいタイミングもあります。
そんなとき、1点ものの器を集めるのも楽しいですが、使い慣れたものを使い続けられるという点は、量産品ならではの魅力だと感じています。
カイ・フランクとティーマのデザインについては、本書のなかで著者の渡部さんが詳しく紹介してくださっています。
それによると、実際にカイ・フランクは戦後復興期の住宅不足で狭い空間での生活を強いられる人々の生活を考慮し、少ない数の食器でも豊かな食卓を囲めるよう、ティーマの原型となる「キルタ」のシリーズをデザインしたそうです。
現代を生きるわたしたち、しかもシンプルながら機能的な製品に囲まれる日本人にとって、「ティーマ」のデザインは何てことのないもののように見えるかもしれません。ですが、収納スペースの少ないキッチンでも重ねて棚にしまいやすかったり、カップ&ソーサーをそれぞれ単体でも使いまわせるデザインになっていたり、ところどころにカイ・フランクの気配りが隠されているのです。
本書では、このほかにも名作デザインに隠された制作背景やデザイナー同士のつながりなど、これまで日本ではあまり知られてこなかった北欧デザインをめぐる物語を知ることができます。
北欧デザインを実際に使っている方々にとっても、あらたな発見があるはずです。
ぜひ一度、書籍を手に取っていただけると嬉しいです。
商品名 「北欧デザイン」の考え方
商品名(カナ) ホクオウデザインノカンガエカタ
著者 渡部 千春
判型 A5変形(縦210mm×横152mm)
ページ数 224
北欧デザインを紐解く前に……
北欧各国のデータ
1章 北欧デザインの目覚め
北欧におけるデザイン意識の萌芽
女性の仕事から始まったテキスタイルデザイン
陶磁器とガラス分野のモダニズム開花
2章 黄金期を迎える北欧
アメリカにおける北欧デザイン
デザイン・イン・スカンジナビア展
職人たちの手による家具
アルネ・ヤコブセンが目指した有機的なフォルム
アルヴァ&アイノ・アアルトが生み出した息の長いプロダクト
フィンランドデザインの良心 カイ・フランクの思想
ローカルとグローバルを繋ぐ北欧のグラフィック
マリメッコがもたらした革新性とデザイン
北欧の人々が愛する照明の数々
ファンシーではない北欧の玩具デザイン
日本の民芸運動と北欧デザインの繋がり
3章 新しい北欧デザインへ
大量生産品にも現れる北欧らしいデザインとは
テクノロジーとともに進化したプラスチックの可能性
北欧のエルゴノミクスデザイン
2000年以降のライフスタイルデザイン
アウトドアアクティビティの宝庫 北欧で発展したデザイン
北欧らしさを追究したデザイン
【コラム】
1930年ストックホルム博
グスタフスベリ・スタジオとリサ・ラーソン
ビルゲル・カイピアイネンとルート・ブリュック
H55について
オーナメントの普及と北欧デザインの幸福度
スウェーデンガラスとエリック・ホグラン
北欧のデザイン教育
【データ編】
年表
索引
フォトクレジット
おわりに
主要参考文献一覧
お詫びと訂正
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